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合い鍵

さて電話の向こうで、うちの子はどんな顔をしてるのだろう。そう考えたら、思わず吹き出しそうになった。

一本しか無いうちの鍵を、子どもがいつもの場所に置いてなかったため、閉め出しをくらってしまったのだ。


イラスト あん


ほんの少し前。
家へ向かう急な坂道の途中で、子どもからLINEが入った。

子:今日の習い事、本当に15時から?
私:15時15分からだよ。
子:なんで?15時にきてるんだよ。

返事を打つのがめんどくさくなり、私から電話をかけた。

「いつも遅れるから、少し早めに言ったのよ。何が悪いの?」

「お母さんがそんな言わなかったら、15分家におれた。」

「仕方ないじゃない。はい。頑張ってね。」

まだブツクサが止まらないようなので、そそくさと電話を切った。

そうしてるうちに、家に着いた。
汗は滝のように流れていて、早く冷たい水でも一杯飲みたいものだ。
しかし、鍵が無かった。
すぐに子どもに電話をかけ直す。

「ねぇ。鍵はどこ?」

「ごめん。持ってきてしまった。」

この暑いなか、二時間以上も外で待つのか。蚊もすごいし。

そう言いたい気持ちを抑えて、
「お母さんは、優しいからそんな事じゃ怒ったりしなーい。」
と、言ってやった。

さっきの勢いはどこへ行ったのやら。
「本当、ごめん。」
バツの悪そうな言い方だ。

「とにかく、気をつけて帰っておいでね。」
と、電話を切った。

これまでも、二度や三度ではないこのやり取り。私は意外と楽しんでいる。
私たち親子には必要な出来事なのかもしれない。一つのコミュニケーションだ。

子どもが大人になった時に、人の小さな失敗を責めるような人にはなって欲しくないものだ。

とりあえず、今回は私の勝ちだ。
私は、とても気分が良かった。

合い鍵を作ってもしばらくは言わないでおこう。


作・
皐映月 紅歌
(さえつき あか)